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真の観光地を目指す 「大谷の景観整備」

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見るべきは地下ばかりじゃない

栃木県内有数の観光地と言われ、すでにブランドとして確立していると言っても過言ではない「大谷」。
しかしその実状は、大谷寺や地下採掘場跡など、各ポイントは押さえていても、地区全体で観光客を迎え入れる体制に大きな課題を残す、とても惜しい観光地というのが大方の見方となっています。

 

自然の造形か人の手によるものか、さまざまなマチエールの岩壁に囲まれ、また緑と石が織りなすマテリアル感は他では見られない異形さを醸し出しています。事あるごとに通ってみたくなる異空間です。がしかし、他県の観光客にとって、大谷は突然不親切な観光地に豹変するようです。各所の周知不足や、初心者に分かりづらい地区設計など、知名度に対して観光地ならではの地域づくりが追いついておらず『訪れる者すべてに感動を与えたい』という配慮があるとは正直言いがたいと思えます。残念ながら、内輪の域を出ない「惜しい」観光地と言えるのです。とある知人が「大谷は他県の者だけで行ってはいけない。あそこは地元民が他県のお客を『連れていく』観光地なのだ」と言っていたのを思い出します。

多気不動尊からの通りや姿川などを始めとして、大谷地区全体の景観整備が進められており、「石の里」としての本格的な観光地化を目指す気運が高まっています。そして大谷の今後の在り方について語る上で必ず壇上に挙がるのが、次の二点。行き過ぎたテーマパーク化を懸念するゆえに、人為的な観光地化を目指さずありのままの姿を残してゆくべきという意見、そして一方、ダイヤの原石とも言うべき観光資源である大谷は、観光地としての演出をしかるべく施すことでその魅力をさらに活かすべきという意見です。しかし双方の意見を交えて議論してみる限り、結局はどちらも真理であり、どちらも正解でなければならないことが判ります。

自然の産物である大谷石を、石材の産業として切り取ってきた歴史と、その経過の風景そのものが観光資源という、極めて例外的な状況の上に成り立つ大谷。そのような他に類を見ない観光資源の今後に求められるのはただひとつ、双方の正解を内包する絶妙なバランスを見つけることなのでしょう。

大谷石の風化を踏まえた上で大谷の景観を維持するにも、観光地として景観を飾るにも、大きな労力とコストが必要となることに変わりはありません。そして現在、数多くの有志や団体が大谷の今後の在り方について真剣に取り組んでいます。一大景観形成事業として景観整備が進められている大谷。どれだけのバランスが作用し、結果どのような観光地に生まれ変わるのか注目たいところです。

栃木県宇都宮市 「大谷地区」

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