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栃木県宇都宮市 「宇都宮美術館」

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宇都宮美術館は一九九六年に、宇都宮市制百周年を記念して「うつのみや文化の森」に建てられました。設計は岡田新一。教育・文化施設など記念建築の設計を得意とする建築家です。

 

森に囲まれた環境と、景観を意識しての低層建築のため、エントランス側からしか建物を伺い知ることができません。入口部分は非常に丁寧なデザインが施され、豊かな自然と調和のとれた景観は、とても気品のある雰囲気を演出しています。

内部は、窓を廃した精悍な前面ファザードとは一転、ガラス張りで開放感のあるゆとりの空間。外側から見せるファザードと、中側から風景を見せる館内廊下側のコントラストが見事に表現されています。自然の風景が見られるように、展示室とロビーの間がガラス張りの長い廊下となっています。空間の意義といいますか、密度を感じさせる計画がなされていると感じました。

美術館というのは、芸術作品の存在感を打ち消すことなく、かつ日常の延長として所帯じみてはならないという、ある種対極を内包したままでその存在を成立させなければならない難しさがあると思います。宇都宮美術館は、人々が芸術に触れようと美術館に足を運ぶことの非日常性を、いかに演出できるかという期待感を感じさせてくれます。

 

文化文化〜とよく叫ばれていますが、文化度を計る一つの項目として、日常の中に芸術がどれだけ浸透しているかという話があります。そこには美術館という存在がバロメータのように出てきますが、それは特別で大層な美術館があればいいというものではありませんし、皆が親しめるよう街のあらゆる場所に美術館を乱立させることでもありません。日常から芸術に親しみ関心を持つことにより、一層深く芸術に触れたいという欲求を満たすために、その門戸を開くことが美術館のあるべき理想だということでしょう。

美術館自体の質が求められるのはもちろんですが、街に住む人々の芸術に対する関心によっても、その美術館の在り方が変わるということだと思います。

宇都宮美術館
竣工:1996年
設計:岡田新一
住所:栃木県宇都宮市長岡町1077
ホームページ:http://u-moa.jp/

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