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これぞメタボリズム「栃木県議会庁舎」

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新栃木県庁舎および関連施設のリニューアルに伴い、現在芝生となっている場所に、かつてこのような建物がありました。

栃木県庁の正門左手に、幾本の太い柱で持ち上げられた外観が特徴的な巨大建築物が鎮座していました。

グリッドに沿われた造作の反復による寄木細工のような四角い躯体と、全体のやや風化したコンクリートが独特の威厳。

そう、これこそ各方面から保存の声が挙がったものの、最終的には解体撤去された建築物『栃木県議会庁舎』、メタボリズム建築の秀作と言われていました。

この栃木県議会庁舎は、メタボリズムを代表する建築家の一人、大高正人の設計によって一九六九年に建てられました。

開発されたばかりのプレキャスト・コンクリート(コンクリートのパーツをあらかじめ工場生産しておき、そのパーツを現場に運び込んで組み立てる工法)がふんだんに使用されていることもあって、当時において最先端のモダニズム建築として大変話題になったといいます。

同年芸術選奨文部大臣賞を受賞しています。

ところで、先ほどから頻出している『メタボリズム』について説明をさせていただきます。

メタボリズムとは、一九六〇年代に台頭してきた都市や建築のデザイン・理論の運動であり、メタボリズムを直訳すると「新陳代謝」。

一つのユニットを細胞にたとえ、都市環境の変化や必要性に応じてユニットを増減でき、また一部が劣化・破損した場合はその部分のみを交換できる建物、まさに時代とともに変化を続ける「成長する有機体」として建築物を捉える考えでした。

高い理想を掲げて登場した栃木県議会庁舎でしたが、技術と理想のバランスに難があったのか、漏水や隙間風などなど実使用者の評判はすこぶる悪かったといいます。

元来一つの建物を、ユニットの単位にまで細分して考えるうえで、負の部分が如実に現れてしまったとも言えるでしょう。

歴史的建築物とはいえ、新陳代謝の費用対効果や現在の耐震基準を考えれば、解体の決定という結果は理屈では正しいのかもしれません。

しかし滑稽なのは、「成長する建築」がさしたる成長を見せることなく、三十六年の短い命で終わりを迎えることです。

この栃木県議会庁舎が成長を遂げ、新たに生まれ変わるシーンを見てみたかったきがします。

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■栃木県議会庁舎
■竣工:1969年
■設計:大高正人
■所在地:栃木県宇都宮市塙田1-1-20

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