建築探訪・写真・ウェブなどに関して徒然書き綴る私的実験室的なサイト
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栃木県宇都宮市 「天開山大谷寺」

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栃木県宇都宮市の西部に位置する大谷地区。大谷資料館や平和観音など見所はたくさんありますが、やはり『天開山大谷寺』、ここを外すわけにはいきません。大谷地区の中心に構える天開山大谷寺は、開基より実に千二百年、現在の観音堂となってからも約二百年の歴史を持ち、また弘法大師によって彫られたと伝えられる千手観音(国内最古の磨崖仏)など数々の史跡を有する名刹です。県内屈指の観光名所もであり、毎年多くの観光客や巡礼客が訪れています。

時は西暦八一〇年、平安時代に天開山大谷寺は開基されました。それから千二百年の間、幾多の災害や焼失を経ており、そのため現在の観音堂・脇堂は十九世紀頃に建てられた、割と新しい建築物です(とは言っても約二百年)。岩山ほどの巨大な大谷石に開口する洞穴に埋設された状態で観音堂・脇堂が建つ、いわゆる洞穴寺院と呼ばれるもの。大谷石の階段を上り、朱に塗られた入口の門をくぐると、そこはまるで建物が石の雲に覆われているかのような錯覚、その非日常性に驚かされます。まさにそびえ立つ空間。風化した大谷石と寺社との絶妙な調和、その自然と人が創り上げた造形の妙と景観のダイナミズムは全国的にも類を見ない、ここにしかない希有な世界観が構築されています。寺社建築と聞いて敬遠される方もいるかと思いますが、これほどの建築物・景観はそうそう見られるものではありません。

ちなみに昭和四十年、寺社の防災と石仏の保存工事に先立ち発掘調査が行われた際、縄文時代から室町時代に及ぶ多くの遺物が出土されたといいます。大谷石と人とのつながりが有史以前からあったことが伺えます。平安時代に開基した天開山大谷寺も、現代まで脈々と受け継がれてきました… 私たちはこの大谷石と人とが昔から築いてきた文化を、ずっと未来まで残していくことができるでしょうか… 大谷石の岩肌を眺めながら、そんな感慨深い思いに浸りました。

■天開山大谷寺
■竣工:810年
■所在地:栃木県宇都宮市大谷町1198

 

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