建築探訪・写真・ウェブなどに関して徒然書き綴る私的実験室的なサイト
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栃木県大田原市 「那須野が原ハーモニーホール」

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一九九四年、牧歌的な田園広がる大田原と西那須野の町境に、ひときわ未来的な巨大建築が登場しました。

それから約十五年経った現在、ここ十年間で急速に住宅地化が進行した近隣周辺の中にあって、ガラスとコンクリートを基調とした幾何学的造形物の集合体ともいえる巨大建築は、未だに特別な存在感を放っています。

竣工当時はさぞかしインパクトがあったことでしょう。

特徴的な内外観、視線の移動を意識した動線に、光と水を利用した意匠など、刺激的で意欲的なデザインは創意と面白みにあふれ好感が持てます。

※以下はあくまで個人的な感想です

がしかし、実際に足を踏み入れると、スケール感覚の狂いといいますか、三半規管的な違和感を若干感じてしまいます。(ドラえもんのガリバートンネルをくぐるように)まるで自分の体が幾分小さくなって館内を歩いているような居心地の悪さに襲われるのです。東武ワールドスクエアの逆パターンといってもいいでしょうか。

その原因は、きっと建物すべてが全体的に「大きい」からなのではないでしょうか。

趣向を凝らした特徴的な意匠でありながら、どこか大味の感が否めないと感じたのもそのせいかもしれません。

あくまで主観ですが、敷地を含め建物全体が、縦・横・奥行きそのままの形で現在の90%位の大きさだったならば、「ちょうどいい」居心地を感じられたのかもしれない、と思いました。

ギャラリーや大小ホールなどを備えた文化施設がある街を誇らしく思えるという意見もたくさんありますが、一方、いざ出来上がった地域初の大ホールが、勢い余って非常に特別すぎる代物となってしまったという意見もあるにはあると思います。

一次的な商業施設や娯楽施設の充実に対し、公共文化施設が貧弱気味と言われていた栃木県に突如姿を現したハーモニーホールですが、地域の文化交流の中心として、何十年先も活躍してもらいたいと願いました。

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■那須野が原ハーモニーホール
■竣工:1994年
■設計:セルスペースアーキテクツ
■所在地:栃木県大田原市本町1-2703-6
■ホームページ:http://www.nasu-hh.com/

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