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栃木県佐野市 「佐野市郷土博物館」

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栃木県佐野市街から幾分西に離れたところ、住宅と公共施設が並ぶ閑静な場所の一角に佐野市郷土博物館があります。

昭和五八年に開館したこの郷土博物館、青い鏡面のタイルで覆われたシンメトリックな外観は格調高い風格を備え、まさに歴史と文化の案内人と呼ばれるにふさわしい建物です。

 

エントランスの広場・ガラス張りのコロネードや中庭など陽光感じる解放感、展示室やコンコースなど照明を最小限に抑えた重厚感とが混ざり合う、緩急の効いた演出に驚かされます。特に密度の高い室内空間に埋め込まれた中庭と回廊という室外空間は、例えば中東の住宅密集地の奥にぽかりと空いた広場のよう。また展示室に飾られた郷土品、田中正造ゆかりの品を収めた特別展示室など、歴史ある物を荘厳かつ嫌みなく展示する演出力に驚嘆しきり。「見る・感じる」ことを熟知していると感じます。

ただ惜しむらくは、その演出や計画ひとつひとつの規模が小さいがために感じる窮屈さ、決して広くない場所にさまざまな空間要素を詰め込み、かつそれを成立させているセンスが少々裏目に出ているようにも見えます。あくまで個人的な意見ですが、博物館の平面(広場・展示室・中庭の広さやコンコースの長さなど)が全体的にあと1.2倍ほど大きければ、空間要素の密度とのバランスがとれるのではないかと思えたのは気のせいでしょうか。

 

大通りから一歩離れた立地とアクセスの微妙な不便さは、その建物の示す意義を語る上で、多少なりとも不利な一面を感じずにはいられません。派手さをあえて排した成熟な空間は、不特定多数の視線に晒されるのを良しとしないという意見も解りますが。「博」という字は「あまねく行きわたる」との意味も持ちます。この郷土博物館、ひいては佐野の郷土文化に対する関心が、より多くの人々に広く行きわたってもらいたいものです。正直、佐野にはそれだけの価値があると思います。

佐野市郷土博物館
竣工:1983年
設計:建築研究所アーキヴィジョン
住所:栃木県佐野市大橋町2047
ホームページ:http://www.city.sano.lg.jp/city-museum/

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